ホームSim Novel>7.電力不足
 
7.電力不足
 

8月の上旬、日本で言う盆の時期である。
「本当暑いなぁ」
周瑜をジロジロ見ながらうちわを仰ぐ孫策。
「そんなこと言われましても、まだ34度です。クーラーをかけるほどではありません」
とかいいつつ、さっきからアイスコーヒーばっかり飲んでいる周瑜である。
――そこへ。
いつものとおり魯粛が駆け込んできた(マンネリしてるな)
「村長村長!」
「ようこそ暑い部屋へ!」
「本当に暑いですねー・・・ってそうじゃなくて!」
魯粛が孫策のペースに乗せられかけてる
「・・・何かあったのか?」
うちわを仰ぎながら魯粛を眺める。
「・・・実はですね」
「なんだ、もったいぶらずに言ってみろ」
「電力不足の危機なんですよ、当村は」
電力不足〜?
周瑜は飲んでいたアイスコーヒーを魯粛に向かって噴出した。
「しゅ、周瑜さん〜!?」
「あぁ申し訳ない。で、電力不足とは?」
「えーとですね、当村は風力発電所2機だけで今までもってきました」
魯粛が周瑜から貰ったタオルで顔を拭きながら答える。
「ほぅ、風力発電所2機。よくそれだけで電力をもってきたな」
もううちわを仰ぐのもめんどくさくなったのか、風の通る窓辺に一人立っている。
「今の解決手段は近隣都市との取引です」
タオルで顔をぬぐいつつ孫策に言う。
「・・・近隣都市ねぇ、一応ここの近隣都市と言えば秣陵ですが・・・」
うーんと周瑜が悩みながら答える。
「まぁ、とにかく秣陵に電話をかけてみるか」

「あ、こちら東呉・・・じゃなかった広陵村長の孫策ですが。許貢町長はおられますか?」
しばらく取り次ぎメロディーが流れた後許貢が出る。
「お待たせいたしました許貢です。・・・で、御用は?」
少しご機嫌気味の許貢である。
「大変言いづらいことなんですが・・・」
「なんでしょうか、無理な御用以外なら何でも承ります」
どこかの便利屋のようなことを言う許貢である。
「お宅と電力の取引をさせていただきたいのですが・・・」
「あぁ、電力ですか。現在コチラは電力が余っていて困っていたところなんですよ」
この発言を聞いて少し孫策の顔が明るくなった。
「ということは、コチラが電力を広陵に供給するのですね?」
「ええ、そういうことでお願いしたいのですが・・・」
「では、取引の値段は、1ワットにつき10円でよろしいでしょうか?」
「少々お待ちください、今確認しますので」
と電話を保留にした。
「周瑜、ちょっと財政課へ確認をとってくれ」
周瑜を走らせて、その間、パソコンで料金(?)を計算する。
「村長!財政課と議会から仮許可が下りました!」
その瞬間、孫策はすぐに電話をとった。
「もしもし?許貢町長?確認が取れましたので、書類をお送りいただけないでしょうか?」
「あぁ結構ですよ。では、手配が取れ次第、書類を郵送いたします。今回はありがとうございます」
昔便利屋だったのだろうか?という考えが孫策の頭からついてはなれない。

それから2日後。
孫策あてに郵送で書類が届いた。
中身は当然電力取引の内容だった。
(だがどうしても最後は便利屋みたいな口調になっていたが)
そしてすぐに周瑜に議会へ行ってもらい、何とか了解をこじつけた。
・・・だが
「いつまで待っても電力が供給されませんねぇ」
と周瑜がとぼけたことを言った。
「何を言ってるんだ。まだ秣陵と電線をつなげてないだろ。今公益局に頼んで工事をしてもらっている」
アハハハハと乾いた笑いが室内に響いた。

「だからクーラーはムダにかけないほうが良いんですよ」
ボソと周瑜に言われ、背筋に寒気が走った孫策であった。
  [前へ] [Sim Novel-TOP] [ホーム] [次へ]  
ホームSim Novel>7.電力不足