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6.老人連
 

玄関に老人連が座り込みをしていると聞き、急いで走ってきた孫策と周瑜(他もろもろ)
なるほど、玄関に来てみると老人連の連中が堂々と座り込みをしている。
・・・が。
孫策がその中で一人見慣れた顔がいることを発見した。
「ちょ、ちょっと、議長さん!何であなたがここにいるんだ!?」
人目もはばからず、大声で叫んだ孫策。
その声に反応するかのように劉馬議長が振り向く。
「これはこれは孫策村長。ちょっとお宅の玄関を借りさせていただいてますよ」
「あぁ、それならごゆっくり・・・じゃなーーい!
孫策が顔を真っ赤にして怒っているのにも関わらず、劉馬はケラケラと笑っている。
「いやぁ、あなたたちが前に保育園建設について一回村議会に来たでしょ」
「あぁ、行きましたね。全く、あのせいで身体を壊してしまい(ブツブツ)」
後ろで周瑜が何かブツブツと言っている。
「・・・で、その村議会へ行ったのが何か?」
「いや、あなたたちにいつか話さなきゃならないと思ってたんですが、私、老人連の会長なんですよー」
ニコニコしながら孫策に向かって話しかける。
「そうなんですか、それはそれはご苦労様で・・・じゃなーーーいって!
劉馬のペースに乗せられっぱなしの孫策に、周囲は冷たい視線を浴びせている。

「・・・ゴホン。で、会長だからどうしたんですか?」
孫策が周りを眺めて、自分がバカみたいなことをしていることに気がつき、気を取り直して質問した。
「えーっと、私には孫が2人いるのですが、ちょうどその孫が来年保育園に行く年齢なんですよ」
「いや、お宅のお孫さん自慢が聞きたいんじゃなくて。なんでここにいるかというのを聞きたいんです」
周瑜が痺れを切らし、孫策の後ろから口出ししてきた。
「おや長髪の秘書さん。いきなり話題参加ですか。まぁいいでしょう」
また嫌味が始まった。その瞬間、周瑜の眉間がピクリと動いた。
「・・・私たちがここにいるのは、保育園建設反対を訴えるためです」
「いや、保育園建設反対と言われても、まだ予算案も出てないのですが。それに、あなたに即却下されましたが」
まるで口答えするかのように周瑜が即答する。
「予算案が出てからの話です。今あなたたちはそれどころじゃないかもしれませんがね」
確かに、孫策たちは今、シャトルバスの件で頭を悩ましており、保育園建設の話はどこかへ行っていた。
「それで、何を理由に保育園反対を訴えてるのですか?」
孫策が少し落ち着いて聞く。
「・・・それは、ジジバカというのでしょうか。孫がかわいくてかわいくて仕方がないのです」
「・・・いやだから、誰もあなたのお孫さん自慢が聞きたいわけじゃないんですよ」
孫策が呆れ顔をしている。
「誰も”お孫さん自慢”なんかしてませんよ。私が言いたいことは、孫と触れ合う時間が少なくなるということです」
確かに、極端に考えればそうである。
せっかくのかわいい孫を手放したくないという祖父たちの願いは十分に分かる。

「・・・ですが、いくらあなたたちが放したくないといっても、親の方はいろいろと忙しくて大変なのです」
そうだそうだと後ろから歓声があがる。
「んじゃ、私たちが世話をすればいいのでは?」
劉馬がとぼけたことを言い出した。これにはさすがの孫策も呆れてしまった。
「・・・アンタはアホですか」
「あなたにアホと言われる筋合いはありませんね」
「あなたたちが孫の世話してどうするのですか。親はどこへ行くのですか?」
「仕事〜」
ニヤニヤ顔で劉馬は答える。
「・・・周瑜、行こう」
「ぇ?」
「こんな議長、相手にしとられん」
「だー!村長、待ってください。ちと冗談が過ぎましたね」
劉馬があわてて引き止める。
「冗談?過ぎすぎですよ。で、言いたいこととは?いい加減そこも立ち退いていただかなければいけませんし」
「簡単に言いましょう。とにかく、私たちは孫を手放すのが寂しいのです。少しでも手元にいてほしいのです」
そういった後、老人連は総引き揚げしていった。

―ここは村長室。
「にしても、あの議長は何なんだ?いったい」
孫策が机の上に突っ伏しながら、周瑜に聞く。
「さぁ・・・?なんか謎の人物ですね。もう少し調べてみる価値はありそうです」
と、ひそかに私設調査団を作っている周瑜だった。
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