2.公共施設建設

2.公共施設建設

村に赴任してきてはや2週間。
だが孫策は、これといった開発をするわけでもなく、毎日毎日書類課から送られてくる書類をチェックしているだけである。
（なお書類課は、今回新しく孫策が作りました。課長はもちろん魯粛）
これに痺れを切らした周瑜が、ついに切り出した。
「伯符、いい加減開発はしないんですか？」
コーヒーを持つ手がわなわなと震えている。
その手を見て少しおびえた孫策は
「あ、あぁ、いつかするよ」
とその場逃れの返事をした。
が、単に「その場を逃れた」だけであって、その後もしつこく周瑜が聞いてきた。
「村長、いつになったら開発するんですか？」
「村民たちが待ち望んでますよ」
嫉妬深くねちねちねちねちと聞いてくる周瑜に、孫策はノイローゼになりかけていた。
（んじゃぁ、早く開発しろよ）

1週間もねちねちと問い詰められた孫策は、ついに開発をすることを決めた。
んで、まず行くのが総務課。
「なぁ呂蒙」
「何ですか市長・・・じゃなくて村長」
ついつい間違えてしまう。
「今この村にある公共施設って何だ？」
「えっ？えーっと・・・小学校と中学校と、後は小さな開業医しかありません」
「図書館も博物館も高校も無いのか？」
「当たり前でしょ」
そりゃぁ、大学とかは政令都市の東呉市だからあったというもので、
こんな貧相な村にはない。
余談だが、この村は秣陵町から北に行ったところにある広陵というところである。
東呉からは車で1時間弱。大体寿春と同じくらいの距離である。
自然が豊かで、山と海に囲まれ、のどかな村である。
――閑話休題
「まずは何を建設したらいいだろうか」
総務課を後にして、すぐ横にある建設課に行ってみた。
「そんなの私に聞かれても困りますよー」
孫策の弟である孫桓がうろたえる。
「お前なら分かるだろう。建設課の課長なんだろ？」
「う・・・それは確かにそうなんですが・・・」
冷や汗たらしながら答える孫桓をじっと見つめながら
「んじゃ、市民課行ってくるわ」
と建設課を後にした。

「なぁ子義」
「まず村民が何を望んでいるかということですね」
「いや、そりゃ分かっているんだがなぁ」
太史慈に出されたコーヒーを飲みながら、市民課のソファーで話し合う。
「まずいるのは病院でしょう。総合病院」
「だがそんな大きい病院がこんな村にあったとしてももったいないだけだろう」
「た、確かに・・・」
鋭い突っ込みに太史慈がうろたえる。
「ハローワークとかは？」
「却下」
孫策が即答する。
「まず、この村は農民が多いんですよ」
太史慈が取り出してきた資料を見ながら言う。
「商業人口が増えるようにしなきゃいけないんだろ？」
孫策がコーヒーをすすりながら答える。
「ええ。運良くこの村には資産が結構あります。今のところ赤字でもありません」
また余談だが、前村長は金の工面の腕では東呉地区1位2位を争う腕だったという。
だが、その工面のうまさを利用して賄賂、脱税などを繰り返し、逮捕され村長を辞任させられたのである。
――閑話休題
「学校とかもあるしなぁ・・・教育レベルはどうなんだ？」
「えーっと・・・教育レベルはあまりよくありません。まぁ小さな村ですからね」
「小学校の全校生徒が100人弱しかいないもんなぁ」
孫策が頭を抱える。
「あ、そうそう。この村には保育園が無いらしいですよ」
太史慈が思いついたように言う。
「確か前、意見箱に『保育所の建設を求めます』という意見が何通も入っていたような・・・」
「どうしてそれを早く言わないんだ！」
孫策が笑いながら太史慈の首を絞める。
「んが・・・村長、ちょっと手を離してくださいよ！保育所の建設について、財政課と総務課に聞いてみてはいかがでしょう」
「サンキュー。んじゃ、早速建設課行ってくるわ」
物事が決まれば有無を言わせずそうするのが孫策の性格である。ある意味融通が利かないとも言うが・・・

そして2日後。
「おーい子義、財政課と総務課から許可下りたぞー。早速手配してくれぃ」
「それは建設課の仕事です」
「建設課にはもう頼んである。市民課も建設課と協力して保育園建設に取り掛かってくれぃ」
「了解しました」
ルンルン気分で市民課から戻る孫策。
村長室へ入ると、周瑜が満面の笑みで待ち構えていた。
「伯符、あっという間に建設が決まりましたね。さすがです」
ニコニコしながらコーヒーを入れる様はどこか不気味な気もするが、とにかく周瑜の機嫌が直ってよかった。
（ってか機嫌を悪くしたのはアンタでしょうが）
「さぁて、開発をがんばるかな」
そう言ったのは良いが、結局その後すぐに仮眠室へ行って寝てしまった。よほど疲れがたまっていたのか知らないが、
少し先が思いやられる気もする。（後日周瑜談）

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